2013年5月号掲載 毎日新聞郡山通信部長/藤原章生(当時) 小学校6年の秋だった。今はもうない、ねずみ色の立派な洋館、日比谷映画で『ビリー・ザ・キッド/21歳の生涯』(1973年)を見た。当時、親に放任され、ませた子どもだった私は、クラス中から長期にわたり無視、今でいう心理的ないじめにあっていたのも手伝い、日曜になると3本立ての映画を見に銀座や新宿、渋谷をひとりほっつき歩いた。 隅から隅まで読んでいた月刊誌『ロードショー』や『スクリーン』で「アメリカで撮りたての西部劇」が来るのを知り、見たくてたまらなくなったのだろう。小遣いをかき集め、ロードショーで封切られたばかりの作品を見に行った。 講堂…